与えられなかった分まで、彼が君に与えてくれますように
言いそびれた言葉って、いつまでも胸に残る。伝えたいことがあったのに、それがもう届かないことに気づく瞬間が、一番苦しい。君は、僕にとって心の奥深くにある朱い痕、忘れようとしても、決して消えない存在だった。思い出すのは、あの時の言葉、あの頃の自分の無邪気さ。それだけで、なぜか涙がこぼれてしまう。今、君は元気でいるのかな。それだけが、ずっと気がかりだった。
もし、愛が忘れられるものなら、もう涙なんて流したくなかった。あの日の幸せを、今はどうか彼が君に届けてくれますように。僕には与えられなかったそのすべてを、どうか彼が君に、最後まで与えてくれますように。
人は、忘れたふりをしても、心のどこかに引っかかるものがある。昔の思い出は、古い傷跡のようで、触れなければ痛まないはずなのに、時間が経てば経つほど、鈍く疼き出す。
もう怖くないよ。今はただ、時間が僕たちの答えを教えてくれると信じたい。「もう大丈夫」って、自分に言い聞かせてみた。「もう痛くない」って、笑ってみせた。
でもそれは、本当は、君を深く深く愛していたからこそ、ようやく辿り着いた答えだった。笑顔で君を許すことができたのは、たとえ今、君が別の誰かと幸せでも、それでも、君の幸せが、僕の願いだったから。
だから、もし君が笑っているなら、僕が手放したことは、きっと間違いじゃなかった。僕がどれだけ未練を抱えていたとしても、君が幸せなら、それでいいんだ。
もう引き止めない。愛が終わったのなら、その愛にそっと別れを告げよう。あの日のぬくもりや微笑みは、これからは彼が守ってくれると信じてる。
僕が与えられなかったものを、彼がどうか、全部、君に与えてくれますように。