2025年6月23日 くもり
僕には、もう戻れる場所がなかった。だからこそ、君の笑顔が眩しくて、気づけば、僕と君のあいだに―一本の、境界線が引かれていた。
最近、なんだか距離を感じるね。
あんなに自然に話せていたのに、今は一言交わすのにも気を遣ってしまう。知らないうちに、生まれてしまった「遠慮」と「分寸」。ふと、どうしてこんなに他人行儀になってしまったんだろうって思う。
ずっと疑問に思っていたことも、君が言わないから、僕も聞かない。たぶん、踏み込んだら壊れてしまいそうで、気づかないふりをして、曖昧なままの日々を選んでしまった。
君を想う気持ちは本物だった。
たとえ何も返ってこなくても、傍にいられるだけで、嬉しかった。名前も立場もいらない。ただ、心のどこかで君に必要とされたい、そんな気持ちだけで、十分だったはずなのに。
でも今はもう、言葉も目線も慎重になりすぎて、うっかり何かを壊してしまわないようにと、まるで薄氷の上を歩いているみたいだ。
呼ばれることもない関係に、僕だけが意味を求めていた。笑って平気なふりをしても、本当は、ずっと特別だった。
もし、もう少しだけ、素直になれていたら。
もし、ほんの少しだけ、君が手を伸ばしてくれていたら。
そんな“もしも”ばかりが、胸の中で静かに積もっていく。