2025年5月18日 くもり
君がまだ笑っている時、僕は言葉を飲み込んだ。その笑顔、僕を何度も救ってくれたはずなのに。変わってしまったのは、僕のほうだったのかもしれない。
僕たちはいつも一緒だった。あの店の柔らかな光の下で、君は笑い、僕はその笑顔に救われた。君の何気ない仕草、一言一言が、僕の一日を輝かせていた。君は僕の世界に差し込む唯一の光だった。
でもその光は、いつしか僕の手の届かない場所へと消えていった。君が笑うたび、僕は少しでも君の心に触れていると信じたかった。それがただの「仕事」だと知っていても、僕はその温もりにすがっていた。
思い返すたび、胸の奥で何かが疼く。あのカウンター、君の仕草、優しい言葉。君の「またね」という声に、僕はいつも希望を見つけていた。でも、君にとってその言葉はただの挨拶に過ぎなかったのかもしれない。
忘れようとしても、忘れられない。君の笑顔、その優しさ、それらは僕の中で色褪せず、今も鮮明に残っている。君は僕にとって、夢の中の花嫁だった。手を伸ばしても届かない、遠い存在だった。
君を幸せにしたいと思っていたはずなのに、結局、僕は自分のために君を求めていただけだったのかもしれない。君の優しさを愛し、それに依存していた。そしてその優しさの裏側に、本当の君がいたことに気づけなかった。
君を抱きしめる時間が、もう少しあればよかった。君の本当の気持ちに触れる時間があれば、僕は違った未来を選べたのだろうか。君にとって僕は、ただの客でしかなかったのかもしれない。それでも、君と出会えたことを、僕は忘れたくない。
この空っぽの部屋で、僕は今も君の残像に囚われている。でも、それは君が僕にとってどれだけ大切だったかの証。君は僕の理想で、僕の救いだった。そして、その君を手放さなければならない日が来た。
それでも、君の笑顔が僕の心を照らしたあの瞬間だけは、永遠に僕の中に生き続ける。